小児在宅医療は家族が主役

赤ちゃんはみんながみんな元気に生まれてくるとは限りません。例えば妊娠時や分娩時のトラブル、先天性、後天性の問題などから、赤ちゃんに障害がある場合もあります。赤ちゃんに障害があった場合、一生病院で過ごさなくてはいけないのか、一生介護をしていかなくてはいけないのかと家族はショックを受けますが、現在は、そのような障害を抱えていたり、医療的ケアが必要な場合に対応できる小児在宅医療というものができます。自宅で赤ちゃんに必要な医療ケアを提供し、そのまま自宅で生活できるというものです。

ただ難しいのは、両親の受け入れです。両親は時に問題を抱えた赤ちゃんを産んだことに罪悪感を持っていることも少なくありません。ほかの赤ちゃんとは違うということで、友人や近所の人、親戚などの目を気にする傾向にあります。そのため、医療従事者が自宅を訪問することへの受け入れがあまり積極的ではないことも中にはあるようです。しかし、自宅で医療従事者の手を借りずに両親だけでケアしていくということは簡単ではありません。小児在宅医療では、訪問看護のほかに医師の往診を受けられます。それを利用してこそ、患者も家族もお互いに安心して安定した生活を送ることができるのです。その時には、あくまで主役は家族。そして必要な情報や助言はするけれど、家族の意志を最大限尊重しサポートしていくという立場を心掛けていくとよいでしょう。決して家族の領域に踏み込みすぎず、しかし必要な時には専門的な立場から的確にアドバイスをする、そんな意識を常に持って周りで支えるのが小児在宅医療に携わる医療従事者の役割なのです。